vol.38:ポラロイド

ポラロイド社が倒産した!


デジタル化への対応の遅れと全米同時テロのあおりだそうだ。


イベントやパーティの自粛が響いたのだろうか。今、アメリカは記念写真どころじゃないということだろう。平和な家族のワンシーンにこそポラロイド写真はよく似合う。


ポラロイド社倒産のニュースが伝わるのと時期を同じくして、フジフィルムのプロ用インスタントフィルム「フォトラマFPシリーズ」が値上げになった。前々からの価格決定だったのだろうがタイミング良すぎ。ポラロイド社倒産でインスタントフィルムの分野は、フジフィルムの一社独占となってしまった。


キャノンが買収するといった噂も流れたが、10月21日現在、はっきりしたことはまだなにも伝わってこない。日本ポラロイド社自体は大丈夫だというが、米国でフィルムを製造しているわけだからどうなるかわからない。

コダック買収という目はないのだろうか?けれどなにせ20年以上前、ポラロイド社とのパテント訴訟で大負けをこいて、インスタントフィルム部門の完全撤退を余儀なくされた過去があるからなあ。




インスタントフィルムによるテスト撮影のことを「ポラを切る」という。


プロカメラマンの多くが撮影本番の前にポラを切る。ライティングのチェックのほかに現場スタッフへの確認用である。そのため中版、大判カメラのほとんどが、フィルムバックをポラロイドパックに変更、装着できる。


ポラと呼んで入るが、ほとんどのプロはフジフィルム製のフォトラマFPシリーズを使っている。FPシリーズは、ポラロイド社からライセンスを受けてのフジフィルム生産だが、ポラロイド社製のよりも、色味、トーンともに忠実に再現してくれるのだ。


だからといってポラロイド社が潰れてもフジフィルムがあるから平気かというと、そうでもない。ポラロイドには忠実な色再現とはかけ離れているが、実に味のある色をだす669、59、809といった品番の、タイプ9カラーシリーズや、モノクロながらポラロイド写真と一緒に美しいネガがとれるポラネガ、タイプ5シリーズがある。SX70も忘れてはならない。


8×10インチ(B5判くらい)の大型カメラで写しだされたタイプ809のポラロイドは、コンピューターやネガカラープリントでは作り出せない、柔らかくてちょっとにごりのある色を出すことが出来る。アンディウォーホールもこのポラロイドを使った作品をたくさん残している。


また8×10インチの大型カメラを使えば、撮ったその場でポラをチェック。OKならばそのポラロイドをそのまま原稿として納品、というカメラマンとしては夢のようなことも出来る。


ポラネガも通常のモノクロ写真とは一味違った独特のトーンが出せることで、世界中の写真家に愛好されている。またライティングと露出の微妙なかけ方で、ソラリゼーションといった特殊効果(下の写真のようにハイライトとシャドーが部分的に入れ替わる。マン・レイの写真が有名)も簡単に作りだすことが出来る。




実は今年の初め、ポラロイド社2000台限定モデル「185」http://www.polaroid.co.jp/news/を買ってしまっているのだ。ポラネガを使った作品作りをしたかったのがその理由。ということにしておこう。


以前ポラロイド社から販売されていた「186」モデルの復刻版。昨今の復刻カメラブームに乗った商品のひとつだ。


2000台限定という誘い文句にフラフラと吸い寄せられて、予約販売の締め切り日ギリギリにヨドバシカメラで申し込んだ。


にもかかわらず、手に入れた「185」のシリアルナンバーは「0005」番だった。


締め切り日ギリギリに申し込んで5番目のカメラ。世界で2000台限定のなかで5番目。多分「0001」から「0003」番あたりは関係者に配っているだろう。それなのに手に入ったのは「0005」。何度も言うが締め切り日ギリギリでの申し込み。




多分このカメラ売れていない!(会社、潰れるわけだ)


もしかするとお宝になる可能性大!(会社、潰れたことだし)




しかし、中古カメラ屋の店頭に山積みされ、捨て値で売られることも十分考えられる。


むしろそっちのほうが可能性大… ましてポラネガが製造中止になってしまったら、このカメラを持っている意味さえなくなってしまう(泣)。



とにかく、がんばれポラロイド!



一部のカメラマン向け小ネタ…


今年のIPPFのポラロイドブースには全紙サイズの超大型ポラロイドが展示されていたが、実はもうひとつの目玉として8×10インチのポラネガも出品の予定だったらしい。銀一との共同キャンペーンを張る予定だったが、製造が間に合わなかったとのこと。その後、現物は出来あがったらしい。「プラチナプリントにぴったり」というのが売り文句か?8×10インチのカメラ持っている人… 欲しくなったでしょう。