vol.44:webと写真

この頃ポツポツとHP宛てのメールが届くようになった。


サイトにコラムを書き続ける作業は、暗闇に向かってボールを投げているようなもので、いったい相手がいるのやら、いないのやらさっぱり見当がつかない。


カウンターだけは週に100人が見ていることを指しているけれど、それも実感に乏しい。


写真集を出版したときもこんな感じだった。書評が新聞や雑誌に載ったり、著者インタビューを受けたりすると「オッうけた」と思うけれど、実際に買ってくれた人がどう感じているのかはわからない。それより本当に売れているのかすら本人にはわからないのだ。本屋に行って積んである冊数を数えてみて、減っているだの変わっていないだのと一喜一憂することになる。


そんなときに写真集の奥付を見てメールを送ってもらうととても嬉しい。「もう一冊送ります!」という気分になる。写真集の出版とはいえ、そんなに自信満々で出している訳でもないのだ。



というわけで、僕がなにを求めているかわかりますね?



そういえばこのサイトは写真集の販売のために始めたのに、本はさっぱり売れず、みんなコラムだけをほめてくれる。あまつさえ「写真よりいい」という者まで出てきた。なんとも複雑な心境だ。


色々なHPを見ているとWEBと写真は相性が悪いのだというのを実感する。どんなにオリジナルが素晴らしかろうと、モニター越しに見る写真には何の感動も生まれてこない。今までWEB上の写真で感心したことは藤原新也氏の「メメントモリ」や、ごく少数のサイトでしかない。回線が光ケーブル主流になる頃には、WEB上の映像は写真ではなくムービーが中心になってしまうだろう。



このHPにはリンクのコーナーはないけれど、いつも見ている写真のサイトの紹介をしたいと思います。WEBと写真の関係性がうまくいっている一例です。



山下恒夫PHOTOGRAPHY 
http://www5d.biglobe.ne.jp/~yamafoto/index.html

山下は大学時代の同級生。女性誌をメインに活躍している。学生時代からコイツは天才だと思うほどいい写真を撮っていた。ここ数年、矢継ぎ早に写真展を開いている。モノクロームもいいがカラーの「DEJAVU」シリーズも美しい。



東京サーカス

http://www.ne.jp/asahi/tokyo/circus/index.html

写真家大野純一のサイト。「日刊ジョニー」を朝見ることから一日が始まる。写真に対する「これでもか!」という思いが毎日伝わってくる。何のてらいもなくこれだけ真っ直ぐにものを言われると「ウンウン」とつい頷いてしまう。



HARUHI FUJII

http://www.fujiiharuhi.com/

写真家藤井春日のサイト。コマーシャルやムービーの世界で活躍している彼女の写真や映像は、誰もがどこかで必ず見ているはず。「睡眠庭園」のシリーズが個人的には好き。今はなくなってしまった原宿バーソウギャラリーでの写真展は今も記憶に残る。美人でしかも写真がカッコイイという反則のような人。



藤原新也
http://www.fujiwarashinya.com/main.html

いわずと知れた大御所。旅の写真を撮る者は避けては通れない。どこか海外に行くときは氏の著書を必ず1冊バックの中にしのばせている。このサイトの中の「Talk」は数あるサイトのコラムの中でも絶品。不定期のためついつい新しいのがアップされていないか覗いてしまう。写真のページでは「メメントモリ」がいい。こんなページを作ってみたい。写真とWEBの関係の可能性が見える。



Mの肖像
http://www.mao2.net/M_toyo/index_M.html

その筋の方々と海外の写真界ではつとに有名な豊浦正明。どの筋かは実際に自分でご覧下さい。彼も大学の同級生。でも卒業してからのほうが会っているかもしれない。毎週木曜日更新のコラムが中心のサイト。「アルル写真フェスティバル」の招待作家になった話し(no.18)は傑作。というより笑えます。僕のコラムvol39「忘れ物」に登場の写真家Tは彼です。ネタにしたため、近々復讐のコラムをアップすると宣言されています。彼へのインタビュー
http://www.mao2.net/monthly_special/index_special.html
(14番)も併せてどうぞ。



ひとつ宣伝。vol40「日々」のなかで書いている、東京人1月号が発売されました。小特集「新・丸の内、発見」です。見てください。最後の頁の東京駅夕景が美しいです。