vol.83:旅するカメラ

このサイトのコラムが1冊の本にまとまり、9月10日にエイ出版から発売されました。と、同時にたくさんの方からメールやBBS(現在は終了)への書き込みをいただきました。ありがとうございます。近頃は日記だけですが、また少しづつコラムを増やしていければと思っています。


後書きから

ここに収録されている写真やカメラのコラムは、2年間の間僕自身のWEBサイト「Satoru Watanabe on the web」に書き下ろしたものばかり。100本近く書いたものから29本を選び出した。


サイトを立ち上げたきっかけというのがこれまた情けなく、出版社の倒産によって手元に残った写真集の販売のためである。2000年9月に出版された初の写真集「午後の最後の日射-アジアの島へ」はたくさんの新聞や雑誌の書評にめぐまれ出足は好調だった。しかし、その年の年末には出版社の経営が怪しくなり、翌年あえなく倒産。


整理が入る前に残った在庫を引き取ると、事務所の棚という棚は写真集ではみ出さんばかりになってしまった。WEBサイトで写真集を販売している写真家がいる、そんな話を聞いたのはその頃だ。


しかしメールさえままならぬデジタルオンチ。頭にあるイメージだけを若きWEBデザイナー増田君に託し、2001年6月「Satoru Watanabe on the web」が出来上がった。


サイトの目玉として思いついたのが写真に関するコラム。今まで使ってきたカメラや撮影の話を週一度のペースで書き続けることにした。書いているうちに徐々に反響が出てきて、週一度の更新を楽しみにしてくれる人も増えてきた。以外にもその手の話しは他の写真家のサイトには見られなかったせいかもしれない。


せっせと書くうちに「本にまとまったものを読んでみたい」と言ってくれる人も現れた。そんな読者の一人がこの本の編集者であるSさんとKさんだ。昨年から本にしましょうと声をかけてもらい今回この本が出来上がった。


サイトの訪問者を増やすために始めたコラムが思いもかけず1冊にまとまった。きっかけから考えると皮肉な話しだ。これというのも2年間書き綴ったコラムを面白いと応援してくれた皆さんのおかげ。


「サイトに文章を書くというのは暗闇に向かってボールを投げているようなもの」と弱音を吐いたこともある。そんな時メールでキャッチボールしてくれた、たくさんの人達に感謝!

 


(2003/10/09)